身体の美しさを追求し続ける「FETICO」
女性の造形美を最大限に引き出すことを目指し、多くの女性たちの心を掴んでるブランド「FETICO」。透け感や光沢のある素材を巧みに使い、センシュアルでありながら品のあるデザインは、他ブランドとは一線を画しています。
この記事では、そんな「FETICO」に焦点を当て、ブランドの歴史やその魅力をご紹介します。FETICOの世界に触れて、その魅力を体感してみてください。
FETICOとは
発足から数年でいくつもの賞を総なめする新進気鋭なブランド「FETICO」。独特な世界観や女性特有のボディラインをいかしたデザインにはファンも多く、今注目を集めています。
デザイナー:舟山瑛美
出典 voguebusiness.com
1986年茨城県生まれ。幼少期から洋服が好きで、小学生高学年になるころには5歳上の姉とともに、よく原宿へ足を運んでいたと言います。特に影響を受けたのが矢沢あい作「ご近所物語」の漫画。絵を描いてみたり、試行錯誤して自作したスカートを穿いて出かけたりしていたそう。そのころから「デザイナーとして仕事をしたい」と夢見ていたと言います。
中学生時代では個性的なファッションに惹かれ、「ジッパー」や「フルーツ」「キューティ」といった雑誌やテレビ番組「ファッション通信」でモードの世界にも触れました。そこで観た「Vivienne Westwood」に衝撃を受けて、本格的にファッションの道へ進むことを決心します。
高校は「バンタンデザイン研究所」のファッション科へ進学。地元の茨城県から東京・恵比寿にある学校まで、毎朝6時に家を出発し、放課後や空いてる時間には代官山や中目黒といったトレンドスポットにも足繁く通っていました。そんな刺激的な学生生活を送っていたのですが、派手でユニークな周りの学生たちと自分を比べては「人と違うことをしないと埋もれてしまう」という危機感を持っていたそうです。
その思いもあり、卒業後はイギリス・ロンドンにある「マランゴーニ学院」へ進学。ファッションやデザインを学びながら、ブランドのインターンも経験。帰国後ももっとデザインを学びたいという気持ちから「エスモードジャポン東京校」へ入学。そこで本格的なデザインスキルを身に付けます。
その後はDCブランドや衣装制作会社での経験、アイドルグループの紅白歌合戦の衣装制作にも携わります。大手セレクトショップでも仕事を経験したのち「CHRISTAN DADA」のウィメンズデザイナーに就任。ブランドのヒットアイテムであるデニムドレスを生み出したことをきっかけに「もしかしたら女性たちの心を掴む服作りができるかも」という自信が芽生えます。そして2020年、エスモードジャポン時代からの旧友である「高濱温子」氏とともに「FETICO」を立ち上げることになります。
コンセプト
古巣であるCHRISTAN DADAがブランド活動を休止した2020年1月の同年3月に、FETICOはスタートしました。ブランド名は舟山氏の学生時代に付けられたニックネームから。そして根幹となるコンセプトは「The Figure : Feminine(その姿、女性的)」。自身がファッションに興味を持った時期に触れた「ヴィヴィアン・ウエストウッド」や「アレキサンダー・マックイーン」らデザイナーたちから影響を受け、「造形美」にこだわった表現をしたいという想いでこのコンセプトが作られました。
FETICOでは「身体の意識」を意味するボディコンシャスなデザインが多く、肌の露出や身体のシェイプさを表現・強調したアイテムがベースとなります。これはゆったりとしたシルエットやエフォートレスなファッションを好む日本のマーケットにおいて、珍しいディレクションと言えるでしょう。ですが舟山氏は、ボディコンシャスのようなデザインは日本人女性にとって「海外に行けば着ることのできる服」という風潮に疑問を感じていました。
だからこそそのコンセプトを掲げ、美しくて覆い隠すのがもったいない女性の身体をいかし、洗練されたファッションとして提案したのです。そうすれば抵抗を感じずに「着てみたい」と思える人が現れるという算段もありました。
結果的にその意図は的中し、ファーストコレクションのボディコンシャスなドレスは1番反応が良く「品があるから、身体のラインを拾うような服でも気軽に着ることができる」と評判でした。そして、男性ウケを狙う訳ではなく「何にも縛られず、着用する人が自信を持てる服作り」をしていきたいと、インタビューで語りました。
「JFW NEXT BRAND AWARD」
世界に羽ばたいて活躍できるデザイナーを育成・支援するプログラムである「JFW NEXT BRAND AWARD」が2023年からスタート。その初年度のグランプリとして選出されたのがFETICOです。理由としては、他とは群を抜いて圧倒的だったブランドアイデンティティ。その確立された世界観に加えて、独特な素材使いや技術が高い評価を受けました。
2023年にはそれだけでなく「TOKYO FASHION AWARD」も受賞しています。これは世界で活躍するであろう旬なブランドをピックアップし、海外展開をサポートすることを目的としています。ビジネス面でのサポートを重視しており、パリファッションウィーク期間中には独自のショールームである「showroom.tokyo」を開設。世界のバイヤーとブランドとのビジネスマッチングの機会を設けます。1年に2つの賞を獲得したことは、ファッション業界でFETICOの名を認知させるきっかけにもなりました。
ちなみに、ブランド初の受賞としては2021年の「JFLFアワード」が挙げられます。これは公益財団法人・日本服飾文化振興財団が「服飾デザイナー助成制度」を目的として主催しており、若手デザイナーの発掘や支援を行います。FETICOはブランドを立ち上げた翌年には、この特別賞を受賞しており、まさしく新進気鋭なブランドと言えます。
デザインの特徴
大衆の目を惹く魅力的なシルエット、そして素材使い。FETICOの特徴的なアイテムはジャパンメイドにもこだわり、時には伝統的な技法を用いてウェアを贅沢に彩ります。
出典 wwdjapan.com
女性の造形美を活かした曲線的なライン
FETICOの特徴で挙げられるのが、女性の身体を美しく表現してくれる曲線的なライン。ボディコンシャスでありながら性的にはなりすぎず、メリハリの効いたデザインとなっています。特に日本人女性は身体のラインをはっきり拾った服や、肌を露出するようなデザインに抵抗感を示す人は多いですが、FETICOではポジティブなマインドで着用できるような服作りが行われています。その舟山氏のデザインを形にするのが、パタンナーである高濱氏です。
まずはデザインを基に、トワル(試作品)を作成。それを2人で確認し、製品化になるかどうかジャッジするのです。試行錯誤を重ねながら服を仕上げていく過程において、他ブランドと異なる点は「スタイリストもトワルチェックを行う」ということ。毎シーズンのコレクションのスタイリングを担当している「山口翔太郎」氏の意見も取り入れて、さらに細かな修正を加えます。
モデルが着用した際のシルエットや、写真に写った時の見え方まで考慮するスタイリストならではの視点があり、山口氏の提案は彼女たちからも高く評価されています。スタイリストがトワルチェックをすることは、海外では一般的ですが、日本ではあまり見られないそう。それを実際に行っているFETICOが、他のブランドと一線を画す理由ではないでしょうか。
センシュアルかつエレガントな素材使い
FETICOが発表するコレクションでは、その曲線的なシルエットデザインに加え、多彩な素材使いも注目を集めています。女性の美を強調させてくれる光沢感のある素材、センシュアルなムードのシースルーやレース素材などがベースとなり、豊富にラインナップされています。
2022年FWのコレクションからは積極的に別注素材も取り入れており、洗いかけのブラウンベルベット生地は、その落ち着いた色合いで多様な肌色にマッチする素材となっています。2024年9月に行われたランウェイでは1980年代のファッションをベースに、モダンでフェミニンなスタイルを提案。
ファーストルックに登場したモデルはインパクトのある大きな薔薇がデザインされたトップスで登場。透け感があり、一見ただのシアー素材にも見えますが、これは「オーガンジー」と呼ばれるもの。50番手以上の細い糸で作り、最終的に硫酸仕上げという加工を施します。これにより、滑らかな肌触りと高級感のある見た目が実現するのです。
他にもツヤ感のあるジャージー素材や、レザーライクなサテン生地、キュプラツイルにおいては繊細な技術の「手捺染」を用いた染め物も登場しています。さらに、舟山氏はSDGsへの取り組みも重視しており、将来的にはデッドストック生地を使ったアイテムや環境に優しい素材開発も手掛けたいと述べています。
国内生産へのこだわり
こだわりのデザイン、こだわりの素材に続き、FETICOでは国内生産への強いこだわりも見せています。高品質でユニークなアイテムを作るためには、それ相応の技術が求められます。日本には長年培われた高度な裁縫技術や生地加工の技術が存在し、それぞれの職人たちと互いに協力することで、海外のブランドでは表現できない美しさと精密さを実現することが可能なのです。
前述した手捺染と呼ばれる染め物もその中の1つと言えます。手捺染とは伝統工芸品によく見られる技法で、手作業で1色ずつプリントしていく染め方を指します。最初の色が乾かなければ次の色を染めることができないため、完成するまでに非常に多くの時間を必要とします。また、繊細な模様を均一に染め上げるには洗練された技術が必要なため、やはりジャパンメイドでなければ実現しない技法です。
モノづくりに真摯に取り組み、時が経っても「美しいヴィンテージアイテム」として評価されるデザインを作ることがFETICOの信念となっています。ちなみに、サイズ感においては国内のスケールにとらわれず、海外市場へ進出することを重視し、最低3サイズ以上のラインナップを展開する意向を示しています。
定番アイテム
エレガントかつ大胆にデザインされたアイテムは多くのファンを獲得。毎シーズン時代に合わせたアップデートがされる、FETICOの定番アイテムをピックアップしました。
2wayブラジャンプスーツ
FETICOのアイコンアイテムに位置する「2wayブラジャンプスーツ」。ブラトップ、ハイウエストパンツが一体となったジャンプスーツで、それぞれ別で着用することも可能です。
FETICOらしい上品さやセクシーさがデザインに落とし込まれています。 ブラ部分にはしっかりとしたサポート力があるので、身体にフィットしつつ、全体的にスリムなシルエットを実現します。毎シーズン、デザインがブラッシュアップされる定番アイテムです。
ボディスーツ
FETICOの根幹となるボディコンシャスを象徴する「ボディスーツ」。身体のラインに沿って美しくフィットし、エレガントなシルエットを演出してくれます。
コットンとシルクの高品質な混紡素材やストレッチ性を備えているナイロン素材、レースやハイネックデザインなど、様々な素材とデザインでリリースされており、豊富なラインナップが魅力です。ミニマルなデザインのボディスーツはトレンドアイテムとしても注目されており、ワードローブにぜひ加えたい1枚です。
STRIPE KNIT MIDI DRESS
特徴的で立体感のあるボーダーの編み地はFETICOの定番デザインで、新潟県にあるニット工場で編み立てられています。伸縮性のあるニットドレスは身体のラインを綺麗に反映させつつ、ストレスフリーな着心地も実現。
それだけでなく、ストライプは視覚的にスリムなシルエットを演出してくれるので、スタイルアップ効果も期待することができます。カジュアルでありながら、クリーンで上品なドレスであるため、デイリースタイルからオケージョンまで幅広いシーンにフィットします。
CUTOUT SATIN DRESS
出典 the-tokyo.jp/shop
TOKYO BASEが運営するセレクトショップである「THE TOKYO」の別注デザイン「CUTOUT SATIN DRESS」。2023年にベストセラーだったCUTOUT SATIN SHIRTSをドレススタイルにアップデートした1着。
FETICOらしい高級感たっぷりのサテン素材と胸元に施されたモードライクなカットアウトは秀逸。シンプルなドレスもこのディテールで、モダンかつスタイリッシュな雰囲気を演出してくれます。単体で着用するドレススタイルはもちろん、軽い羽織りとしてパンツと合わせるのもおすすめ。
ストレートリジットデニムパンツ
タイムレスで長年愛用できる、12オンスの「ストレートリジットデニムパンツ」。ボディコンシャスを主に展開するFETICOのラインナップにおいて、デニムは無骨な印象を与えますが、定番の人気アイテムとして位置づけられています。
コットン生地にポリウレタンが混紡されているためストレッチ性があり、デニム特有の窮屈な履き心地ではありません。脚のラインは拾わずにストンと落ちるフォルム、そしてハイウエストのディテールは脚長効果もあり、美脚シルエットを演出してくれるパンツと言えます。また、ロールアップして履くことでアイボリーのパイピングが見える仕様になっています。
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございます。FETICOは、女性の身体の美しさを最大限に引き出すデザインと国内生産にこだわり、国内外でも注目を集めています。これからも、FETICOはその独自のスタイルで多くの女性に愛されるブランドとして成長し続けるでしょう。
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FETICOの買取について
この記事を書いた人

小川剛司 (MODESCAPE 編集部)
ライター・ファッションモデル。学生時代のアルバイトからファッションの世界へ。大手セレクトショップの販売員、ECスタッフを経て、長年携わったアパレルの経験と知識を活かしWEBライターに。数々のファッションマガジンサイトで執筆を行い、メンズ・レディース問わずおしゃれを発信しています。現在は韓国を拠点にモデル活動しており、更なるファッション知識を探求中! Instagram:@t_t_k_k_s_s